個室トイレでうんこを流さないやつは新手の露出狂
に違いない。
恥ずかしくないのかと。
世間一般でいう常識というものをわきまえる人間であれば『うんちをしたら水を流す』『余裕があれば、トイレットペーパーの取り口を三角にする』というのは誰もがやっている行為だ。
蛇口から水が出るように、りんごが地面に落ちるように。うんちをしたら水を流すのだ。
いや、読者諸君が常識人かどうかはとりあえず置いておこう。
今は常識人としてではなく、現代を生きる仕事人としてあなたにプレゼンをしたい。
ふと入った個室トイレに糞尿が鎮座しているという状況がどれだけの劣悪なテロ行為であるのかというプレゼンを。
個室トイレは仕事に苦しむ現代人の数少ないセーフティエリアだ。
現代人は問う。このデスマーチはいつまで続くのかと。サービス残業なんてやってられないと。
しかし、ふとした瞬間に便意センサーがうんこの訪れを告げる。それは天使の福音、神のお告げ。地上のオアシスへの招待状である。
プラチナチケットを貰った常務は、心軽やかに地上のオアシスへと向かう。解放の地、BEN-JOへと。
今日もこの日がやってきた。心が躍る。
BEN-JOに行ったら何をしようか。そういえば今日はログインボーナス貰ってないしアプリ起動しよう。あ、そういえば好きな子からLINE来てたよな。返さなきゃ。
それが済んだら、職場の彼女でオ...オナニー...!しちゃおうかなっ...!きゃ!何言ってるの?私!?オナニーなんてはしたない言葉、職場でなんて言えないわ!
様々なことを想起しながら個室トイレのドア(ヘブンズゲート)を開く。
気分はワイキキ。便座のポジションを確認し、座る準備をしようと思う刹那、便座の深淵にヤツがいることに気づく。
咄嗟に戦闘態勢をとる。
目をすぼめ、息を止め、1歩後ずさる。口からは「ヴッ!」という唸声が漏れ、清らかな心を持った人間でさえ(うわ、マジかよ...汚物テロじゃねえかよ…死ねよ...)という心の声を漏らす。
うんこが、鎮座している
こげ茶色で、蛇のような体躯を持ち、悪臭を放つうんこがこちらを睨んでいる
そのキリッとした目はこの場が自分のテリトリーであることを主張せんとする野生動物の目をしているし、守る家族がいる父親の目をしているようにも見える。
そして、自らのフェロモンを空間に充満させることで、ここは俺たちの縄張りだという主張をしている。
聖域は汚された。
それはセーブポイント。それは地上のオアシス。それは安息の地。
絶対に安心だと思える地に鎮座する、身元不明の。しかし圧倒的なまでに強い存在。それが強烈に臭いフェロモンを出しながら神聖な空間を蝕んでいる。
天界の中枢はすでに汚物により侵略されていたのだ。
そ、そんな汚物、流せばいいじゃないか!
きっとそんなことを思う人もいるだろう。
しかし、流したとして、他人の残滓があったという事実を尻に鼻に感じながら、何事もなかったかのようにリラックスできるのだろうか?
どこか心が浮足立たないだろうか?うんこに侵略された空間でリラックスできるものだろうか?そこは本当に地上の楽園なのだろうか?
聖域は汚され、地獄が顔を覗く。水たまりの奥から。
個室トイレで糞尿を流さないことがどれだけの大罪かが分かっていただけただろう。
さて、我々人間にとってトイレをしたら流すという行為は半ばルーティンになっている。
それが自分のものであれ他人のものであれ、「うんこを流さないと嫌な気持ちになる」ということを経験から体得しているはずだからだ。
しかし、それを流さない人はきっと「うんこを流さなくても嫌な気持ちにならない」タイプの人間だ。我々人類の中で違った進化の仕方をした、人非ざるものなのだ。
私には理解できない。しかし、そのような進化の仕方をした人類に興味が出てきた。
今回は、個室トイレで糞尿を流さない新人類がどのような行動アルゴリズムで動いているのか?
必死の考察の上、新人類を3タイプに分類できたので、簡単なものであるが考察結果をを提示して今回のプレゼンを終わりにしたい。
1,露出狂タイプ
※Google 『露出狂 裸』 で検索
露出狂には、露出による相手のリアクションが好きな場合と、露出により自分を見てもらうことが好きな場合とがある。男性の露出狂は、性器を見せることで引き起こされる相手の当惑の表情や驚愕を楽しむ者が多い。反対に女性の露出狂は、陰部を他人に見られることによって快感を得るものが多く、ウェブ掲示板に全裸画像や一部の露出画像を公開するものも数多く存在する。
このことから言えるのが、自らの排出した分身を他人に見られることにより性的興奮を得るタイプと、相手の反応を想像して楽しむタイプがいるということだ
ボクには理解ができないので、これ以上考察のしようがない。
しかし、仮に相手の反応を確かめたいといった欲求があるのであれば、そのトイレに監視カメラがあるに違いない
早急に辺りを見渡し、カメラを見つけたら速やかに警察に渡すことをおススメする。
2,生きた証を残したいタイプ
※Google 『寄せ書き ノート』 で検索
生きた証を残したい。
これはキャンプ小屋のお土産コーナーの自由帳に『この 仲間と八ヶ岳に来れて幸せ!2018年3月22日ベストフレンドフォーエバー』と残すやつと同じ行動ロジックであることは容易に想像できる
しかし、Googleで『生きた証 残したい 心理』と検索してもそれらしい心理について解説された文献が出てこなかった
なので、生きた証を残したいタイプはこうなんだろうなという仮説を立ててみた
マズローの5段階欲求説
マズローの5段階欲求とは『人間の欲求はピラミッドの下位の欲求が満たされると上位の欲求を求める傾向がある』というものだ。
食料、水分といった生命維持のための生理的欲求から始まり、家やお金を所有したいという安全の欲求。集団に所属していたいという社会的欲求
その集団から存在価値を認めてもらいたいという承認欲求。そして、自分の能力を発揮したいという自己実現欲求の5段階で構成されている
ここから、ノートに落書きする人間の欲求が、社会的欲求~承認欲求の間のステップであることが分かる
集団に所属しているという仲間意識を持ちたい、自分が集団に存在を認められたいという欲求があるからこそ、キャンプの落書き帳に自らの軌跡を残すのだ。自分がここにいたぞという欲求を満たすために
古墳が建てられた理由だってそうだ。あれだって、権力者が死後も自らの権威、資産を巨大な墓という形で主張し、『生きた証を残したい』欲求があったに違いないのだ。
だから、うんこを流さずにいるというのも『生きた証を残したい』という欲求が強すぎる故に、"流さない"という選択肢にさせたのだと思う
『俺はこのトイレでうんこをしたんだ!俺は此処にいる!だから俺を認めてくれ!』
うんこから、そのようなメッセージが聞こえてくるのが分かるだろう
3,テリトリー主張タイプ
※Google 『犬 おしっこ』 で検索
動物が自分の巣周辺におしっこをかけることをマーキング行為という。ここは俺のテリトリーだから入ってくるなという要求を意味している。
恋人、もしくは浮気相手が身体にキス痕を残すのもマーキングだ。この行為も、この男は私のものだという独占欲を拗らせているものだと考えられる
この2つのことから導き出される答えは、便器に対する独占欲。積もり積もった恋慕の気持ち
つまり、うんこを流さずに放置するという行為は『この便器はあたいのだかんな!絶対どっか行くんじゃねぞ!あたいの便器によりつく悪い虫はあたいの糞尿でマーキングしてやる!』という強すぎる主張、独占欲
フェロモンをこびりつかせ、他の男の影を断ち切る。そんな強い意志を感じるのだ
これからも彼女は、糞尿をマーキングすることにより便器に対する愛を示していく。そういう人生。あっぱれ
☆☆☆
いかがだっただろうか?
「うんこを流さなくても嫌な気持ちにならない」新人類の行動アルゴリズムはこのようになっていることが考察できた。
個室で糞尿を流さない人間は、上記の様々な形で自身の存在証明をしている。それが傍目から見て新手の露出狂のような行動に見えても。
彼らは、現実世界に自らの爪痕を残したいのだ
フェロモンむんむんのくっさい糞尿で
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