しりとりで『ん』は死を意味するが、沖縄人は『ん』から始まる言葉を92個持っているので現代のネクロマンサー説
しりとり。それは広義の意味でe-sports。
それも、自らの人間生活で培った語彙の集大成を相手に全てぶつけるインテリジェンススポーツである。しかもインテリジェンススポーツでありながらルールが単純なため、下は小学生から上はおじいちゃんまであらゆる層のプレイヤーがいると言われている、それはもうすんばらしいスポーツなのだ。
その中でも日本で行われるしりとりのインテリジェンススポーツとしての素養、またアスリートの選手層の厚さははっきりいって異常だ。狂ってる。
何を隠そう、日本語という言葉のポテンシャルとそれを生み出した日本人のスペックからしておかしいのだ。
まず、英語の一人称は王様も平民も同じく『I 』だが、日本語は一人称だけでも私、俺、ボク、おいら、それがし、わい、おら、おいどん、吾輩、某、麿、小生、あっし、あちき、妾、拙者、手前...と豊富なバリエーションを誇る上、
古くは世界最古の長編小説である「源氏物語」から始まり和歌、俳句と言葉遊びを好む国民性をもつ人達が、2000年といった長きにわたり蓄積した膨大な言葉を持つ言語である。
そしてそれを為しえる国民の知的好奇心の高さ。
これは日本人のしりとりの素養を表し、競技者全体のレベルを引き上げている。それがそのまま、しりとりというスポーツの奥深さに直結しているのだ。
そんな言語資源が豊富でかつ知的好奇心の高い国民が、自らの人間生活で培った語彙の集大成を相手に全てぶつけ、言葉の殴り合いを重ねるというパーフェクトインテリジェンススポーツ。それが日本で行われるしりとりなのだ。
じゃんけんのインテリ度が初期のヤムチャくらいなら、しりとりのインテリ度は最終形態のフリーザだ。インテリジェンススポーツとしてはそのくらいの差がある。
そして、日本のしりとり普及率はなんと99.7%!割り算ができる人よりもしりとりができる人のほうが多いのだ。
そこにリア充と陰キャラという垣根はなく、老若男女、立場を問わず楽しむことのできる完全無欠、十全十美、天下無敵のスポーツ。それがしりとりなのだ。
しかし、そんなしりとりであるが、あまりに言葉が多すぎてこんなことになっていないだろうか?
ゲ ー ム が 、 終 わ ら な い 。
皆には、思い出していただきたいのだ。
しりとりを始めたはいいが、終わる時はいつだって寝オチでゲーム自体が有耶無耶になるか『ん』で自滅するかといったパターンであることに。
またそれがお互いの合意であればいいが、仮にあなたがまだ、言葉の殴り合いをしたいとする。相手は殴られまくりで戦意喪失。
そして対戦相手がいじけた顔をしながら『... メロン』といった日には言葉ではなく拳で殴りたくなるだろう。何勝手にゲームを終わらせてるんだと。もっと楽しもうぜと。
相手からしたらさっきから『ぬ』で責められて、「こ、これ以上でないよ・・・」と言うが、「何言ってるの?まだ出るでしょ?潮吹くまでやるから。」とあなたの心の中の沢尻エリカが嗜虐性を発揮し、責め立てるであろう。もっと、もっといぢめて・・・
バイザウェイ、語尾の『ん』はしりとり界では通常、死を意味する言葉である。
正確には『ん』から始まる言葉があればゲームは続行されるのだが、『ん』から始まる言葉が事実上存在しないことから、長年しりとりで『ん』が出てきたらそのゲームは終わりという不文律が共有されてきた。
しかし、沖縄という地には『ん』から始まる言葉を92個持つ民族がいるらしい。
これが何を意味するか。
死のうと思っている人間を無理やり生き返らせて、ゲームを続行させる。戦意喪失満身創痍の相手に対し、言葉の一方的ドッヂボールが展開できるということなのだ。
くっ...俺の負けだ...
俺は自らの手でこの闘いを終わらせる...!
「レモン」
この闘いはお前の勝ちだ...
(ふっ、俺が負けるとはな...)
?
!!? 操られている!!?
くっ、これは一体どういうことだ...!
※ ンパナ:沖縄方言で”お鼻”の意味
ンパナ。しりとりは続行だァ...
おれサマは、沖縄のネクロマンサー...。んから始まる言葉を所有する民族の末裔さァ
貴様、今ゲームを降りようとしただろう?
そんなことはさせねェ。貴様は満足のいくまで俺様のサンドバックになるのさ。綺麗なボロ雑巾にしてやるぜェ...
くっ!たかが1回でぇ...!
ナン! (くっ、力が入らん!体力がもう限界だ)
(今度こそ、自害に成功したか...?)
?
!?!?!??!???!??
貴様ぁ...!
※ ンナクジ:沖縄方言で”空のくじ”の意味
残念だが、沖縄人は「ん」から始まる言葉を92個持っている。
貴様がいくら自殺をしよゥと、あと92回分しりとりをしなければならないゼェ。
言っただろう?貴様は満足いくまで俺様のサンドバックになると
この野郎...!貴様の思い通りにはさせない!
貴様が沖縄なら俺は極北の珍味を召喚してやるぜ!!!いでよ!!!
ジンギ...(ダメだ...もう力が出てこない...)
※ ンパアンパア:沖縄方言で”いやがること”の意味
ンパアンパア。
頑張って力を出そうとしているが、身体が限界のようだな。それでこそ屠りようがあるというもの。
さて、お前の身体はいつまで持つかな?
俺は...ここまでの人間なのか…?
クソったれ...最後まで俺は諦めないぜ…!
ンナジャスティ!(沖縄方言で”空き屋敷”の意味)
これで92個目だ。Congratulation! これでお前もこのゲームから解放される。その身体でよく最後まで己の我を貫き通したよ...
だが、もう貴様の身体は死んだ。サメの餌になって散りな...
~さあ、往こう。次の闘いへ。
しりとりコロシアム~序章~完
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