ぬいぐるみの供養をするのでお焚き上げをしにいこうとしたら、現代の日本の縮図を垣間見てしまった話
第一章 依頼
ぬいぐるみを、捨ててくれ
妹の部屋の模様替えに伴い、妹が遊ばなくなって久しいぬいぐるみを捨てることになった
しかし、ボクはぬいぐるみを捨てることができない
他人の物であっても情が湧くというか、捨てられたぬいぐるみのことを考えるとついつい可哀そうになってしまうのだ
それこそ、トイストーリー的な、人がいないときとかに目覚めてそれぞれのぬいぐるみが人格を持ち、部屋の中で遊んでいるというイメージをしてしまうからだ
しかし、我が家のぬいぐるみは4年前からタイラップと100均で売ってるワイヤーネットを用いてフックで壁に磔にされている
※タイラップ
※ワイヤーネット
大方「私はもう使わないけどスペースを取るし、かといって捨てるのも可哀そう」といった理由だろう。
なので、我が家のぬいぐるみの実態をトイストーリー風に書くとこうだ
しまじろう「おい、聞いてくれみんな!二の腕にタイラップが食い込んで痛てぇよ」
たまごっち「どうした新入り、俺様なんて4年前から首を固定されちまってる。
I have been 死刑ed since 4 yearsだ。とっくの昔に痛覚なんてねェのさ」
ミッキー「あっはははっははははははああっじゃじゃああjsじゃjdpfじゃぺじゃおpじゃおぺfじゃw」
ダッフィー「鏣芓ꯣ膡꿣肁闣莟菣芭볣莞ꛣ芹ꃣ芈臣膿鏣膪껣芢ꓣ莉ꯣ膕苣芢ꓣ莉ꯣ膪鏣膠」
めめっち「ほら、こいつらも脳と声帯をやられてる。国民的スターもタイラップで磔にされちまえばこのザマさ。ご主人様はいつになったら俺たちで遊んでくれるんだろうな...」
人が誰もいないときには、きっとこのような話がされているのだと思う
一度感情移入してしまうと遊ばなくなったぬいぐるみ、フィギュアに対してこのようなことを思い浮かべてしまうので、ボクは観光名所に行ってもそういったものはあまり買わない
端的にいえば、捨てるのが可哀そうになるから買わない
しかもボクは飽き性なので、大抵の場合すぐに飽きてしまい遊ばなくなってしまう。今回は妹のぬいぐるみだったが、ボクが似たようなものを買ったとして磔と似たような結末にしてしまうことは目に見えているのだ
そして、ぬいぐるみ達もタイラップHARI☆TUKE†地獄†から解放されるはいいが、老後に遊ばれず、供養されずに無造作にゴミ袋に詰めてゴミの日に出すのもなんか違う
なので、他の人に譲渡して長く使ってもらえた方がいいに決まっている
しかし、ぬいぐるみで遊ぶような年齢の知り合いは両親も妹にもさすがにいないらしく、神社のお焚き上げボックスに入れに行くことになった
~~~
自転車のかごに袋詰めにされたぬいぐるみを置き、自転車で神社に向かう
いつものように自転車をこいでいるが、なぜか周りから視線を感じる。
道行く人がボクの姿を一瞥し、そして怪訝な表情を浮かべて視線を外すのだ。
理由はすぐに分かった。自分を俯瞰してみるとその奇妙さが分かる
平日の夕暮れに、無精ひげを生やし、寝ぐせのついた髪、メガネに紺のテーラードジャケットとボトムズ、青と橙色のランニングシューズというやる気のない見た目の格好の人間が
ミッキーやたまごっち、しまじろうといった凡そ男性が嗜まないであろう趣味の人形達を袋詰めにし、自転車のかごの上に乗っけて走っているのだ
不審者の模範解答が、そこにはいた。
るせえ!こっち見るな!俺は見世物じゃねえんだよ!俺はこいつらのお焚き上げをしにいくだけなんだよ!!!何も悪いことしてねえし、公開裁判じゃねえぞ!!!
そんなことを思いながら、神社へと向かう
第二章 神社と不審者
神社に着いた。
子供たちの声が聞こえる。同時に地面をドンとリズミカルに叩く音がすることからボール遊びをしているようだ
ぬいぐるみも"遊んでもらえると嬉しいだろう"と思ったので子供たちに託したかったのだが、子供に声かけるだけで事件だ事案という不寛容な世の中になっている以上、変なことはできない
そして、お焚き上げボックスを探すがどこにもない。
諦めて別の神社に行こうと思い、入り口付近を見渡したらさっきの子供の親であろう人がいた。
ショートカットで眼鏡をかけた知的な雰囲気。赤ちゃんを抱え、遊んでいる子供を見ている見たところ30代の人妻だ
この人に話しかければいいのだ。この人にぬいぐるみを託せばまた遊んでもらえる。初対面の人に突然話しかけるのは怪しいと思われるが、ぬいぐるみのためを思って話しかけた
「す、すいません」
相手はヤバいやつが話しかけてきたと思わんばかりの怪訝な表情でボクを見つめる。夕方に神社で何の脈絡もなく突然話しかけてくる無精ひげの男は間違いなく不審者だ
しかし、これもぬいぐるみのため。こいつらがこの先遊んでくれるご主人様を見つけなければ、こいつらは4年間磔にされ、燃やされるという最期でその生涯を閉じることになる!
そんなのあまりにも可哀そうだろう!!
俺が話しかけて、ぬいぐるみを渡すことができれば、こいつらは延命できる!
頼む!!がいがーという戦士に、ほんの少しでいい!話しかける勇気を与えやがれーっ!!!!!
ボク「あ、あの、」
人妻「...?」
ボク「......
妹がもうぬいぐるみで遊ばない齢でこのぬいぐるみ使わないんですけどもしよかったらどうですか?」
キレッキレの早口と挙動不審具合
失敗だ、不審者だ
「あの、すみません。うちそういうの、やってないんです」
そりゃあそうなる
平日の夕暮れに、無精ひげを生やし、寝ぐせのついた髪、メガネに紺のテーラードジャケットとボトムズ、青と橙色のランニングシューズというやる気のない見た目の格好の人間が
ミッキーやたまごっち、しまじろうといった凡そ男性が嗜まないであろう趣味の人形達を袋詰めにし、突然神社で話しかけてくるという行為。しかも早口。
事案
間違いなく事案だ
冷静になったので、居酒屋のキャッチで培ったキャッチ力で少し食い下がってみたが結局駄目だった。最後にお焚き上げの場所だけ教えてもらってその場を立ち去る
そして、神社にお焚き上げの場所を見つけたはいいが、そこにはぬいぐるみ投与禁止という看板があり、止む無く諦め別の神社を目指すことになった
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しかし、それ以降は、どの神社に行ってもお焚き上げの場所すらなかった。増してや神社はぬいぐるみを受け取ってくれないのだ
現代にはぬいぐるみも人も、禊を落とす場所すらない
一度他人の手に渡り、汚れてしまったものは衛生面とかどうどかで躊躇なく捨てるし、一度の失敗を長年にも渡りしつこく叩きつづける人民裁判が蔓延っているのが現代の日本の姿だ
そこにはもったいない精神も、大和魂も、粋な計らいも、ない
あるのは、皆が失敗に怯え、叩かれることを恐れ、セクハラに怯え、肩を狭め下を向きながら生き、小さな粗を見つけ、そして失敗した人間を叩きまくる国民性。
こういった人間が今の日本を形作っているという現実。
GDPや技術力で中国に抜かれ、コンテンツ力・マーケティング力で韓国に劣る日本は、もはや30年前に世界を席巻した日本の姿ではない。そこにあるのは精神技術共に未熟な、発展途上国のそれなのだ。
第三章 シスの復讐
さて、ぬいぐるみをどうしようか
一瞬だけ、道端に投棄することも考えた。いい人に拾ってもらうを待つという作戦だ
しかし、それをしたときに雨が降ったら寒くないだろうか?夜は寒いし、寂しくないだろうか?そんなことを考えてしまいとても捨てられない。
道端に放置してあるぬいぐるみを持って帰る人が果たしているのか?それに、道端に放置する行為は飼ってる犬や猫、魚を捨てる行為と同じなのではないか?そう考える
人間の身勝手な理由で、犬や猫を捨てたり、飼い主が保健所に持ち込ちこむ事による結末がどうなっているのか?
ガスで弱らせ殺処分し、それを火葬場で燃やすのだ
そして、捨てたペットは野生で猛威を振るい、生態系を狂わせ、既存の在来種を死に追いやる。
却下だ。こんなの、却下に決まってる
ぬいぐるみが野生で猛威を振るい、既存の在来種を死に追いやる姿なんて見たくない!
トイストーリー3風に言えばこうなる
しまじろう「復讐だ。俺たちを4年間も縛り上げ、挙句道端に捨てた人間という種族を生かしてはおかねえ...!」
たまごっち「こいつらのためにもな」
ミッキー「あっはははっははははははああっじゃじゃああjsじゃjdpfじゃぺじゃおpじゃおぺfじゃw」
ダッフィー「鏣芓ꯣ膡꿣肁闣莟菣芭볣莞ꛣ芹ꃣ芈臣膿鏣膪껣芢ꓣ莉ꯣ膕苣芢ꓣ莉ꯣ膪鏣膠」
めめっち「他にも俺たちのようなぬいぐるみがいるかもしれねェ...ぬいぐるみ解放運動のため、人間という種族に俺たちの存在を知らしめ、俺たちで遊ばないやつらを絶望に叩き落とすのだ...!」
みんな「「「「「フ、フハハハハハハハハハハハハ!!!!!!」」」」」」
おわり
と、こんなことにならないために、ぬいぐるみの供養、譲渡についてのURLまとめました!
●誰かに使ってもらいたいならここ!
●お焚き上げをしたい方はこちら!
●自分の手で何とかしたい方はこちら!
どの道を選ぼうが、しっかり、遊び相手になってくれてありがとうという気持ちを込めて別れを告げるのが一番いいと思います!
ほんとうに、おわり
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