相手を一番傷つけるのに適した迷惑メールは『不採用通知のメール』説
これは間違いない。
就活時のあの陰鬱とした、自らの自信を根本から破壊されるあの思い出が蘇るのだ。
就職活動とは、自己分析という人生の栄光から黒歴史まで全てを出し切る行為により自身の内面を調べ尽くし、
企業研究で企業の内情がどうなっていてそれがどれだけ自らの嗜好とマッチングしているかについて調べまくり、
それらの研究成果について面接会場にて面接官に余すところなく発表する場である。
そこでは、自らが社会にとっていかに必要な人間かを一方的に発表する。例えば、
「私は学生団体Awuosの副会長で…」
「カンボジアに井戸をつくって…」
「数学オリンピックで優勝して…」
という何の実感も湧かない就活ネタ作り用のフワフワした経験をでっち上げ、面接官に対し「こいつは取っておかないとマズイ!」という気にさせるのだ。
そして、その魂の全力投球をぶっ放した数日後に1通のメールがやってくるのである
『先日の選考について』
この字面が「存在の拒絶を表す文字列」であることはもはや議論の余地がなく、
就活という場では、この自己のアイデンティティを完全否定されるという非情で無慈悲な爆撃を幾度となく受け、内定という栄光のビクトリーロードを掴み取っていくのだ
しかし、幾度となく『存在の拒絶』を受けた就活生は、ある日ポキっと心を折られる時がある
そりゃあそうだ。面接の場で自分という要素を細切れにし、発表しているにもかかわらず、『存在の拒絶』をされるというのは20余年の人生のすべてを否定された気分になるのだ。
企業は就活生の忖度のため「今回はたまたまうちにご縁のない人間だった」「あなた自体は魅力的な人間だ」と銘打っているが、
さすがに20数年も生きていれば、それが嘘、虚構の部類であることは察するところであり、言葉の裏は
『お前は社会において必要のない人間だ。』
『でていけ、お前は弊社にふさわしくない』
『テメェはいらねェんだYO!!』
という意図があることは容易に想像がつく。
これを20社、30社と積み重ねてみよう。
クラスで鈍感王といじられ、うんこがケツについたままでも気にしない人間であっても気付くだろう。
『あれ、俺って社会で必要とされない欠陥人間なのでは?』
そう、積み重なった存在否定の言葉は、就活生の心に傷をつけ、取り返しのつかない心の病として生涯それを背負うことになる。
体のいいリンチ、いじめ。それを合法的に行うことができるのが、『不採用通知のメール』であり、それはきっと迷惑メールで送られてきたとしても相手を一番傷つけるのに適したメールだろう。